皆さんはトレーニング時に自身の挙上・下降局面のテンポについて意識したことはあるでしょうか。
ここでいうテンポとは”バーを降ろすときに3秒かけて、降ろしきったらすぐに爆発的に挙上し、筋肉が最も収縮する挙上しきったところで1秒間をおく”といったようなことです。
トレーニング効果を高めるうえで負荷の大きさや、フォームそれ自体を気にすることはあってもこのテンポに着目してトレーニングすることは少ないのではないでしょうか。
トレーニング時のテンポを意識することはトレーニング初心者はもちろんトレーニング上級者についても非常に有意義なことなので、今日この記事を読んでいただけた方は今日もしくは明日からのトレーニングから意識するようにしてみてください。
テンポの重要性
テンポを意識するということは、何も考えずにただがむしゃらに動作していた時よりも圧倒的に動作へ意識を集中する必要があります。なぜなら何も考えずに動作するより、徹底的に動作をコントロールしつくさなければならないからです。すると、必然的に動作も洗練されていき、フォームの習熟度は何気なくトレーニングしていた時よりもはるかに高いものとなり、さらにフォームが安定することで怪我のリスクを下げることにもつながります。
さらに下降局面においては、筋肉が伸長されながらも負荷に抵抗するエキセントリックと呼ばれる筋肉の出力方法になります。このエキセントリック局面、実は筋肉が収縮しながら力を発揮する時よりもはるかに大きな負荷が筋肉にかかり、より高い筋肥大効果を生み出してくれるのです。テンポをコントロールすることで、エキセントリック局面をしっかりと感じ取り筋肉に負荷をかけられることで筋肥大効果はより得られるというわけです。
また、動作をコントロールし丁寧にすることによって筋肉の緊張している時間がシンプルに長くなるため同じような重さを用いてもテンポをコントロールしない時と比較すると筋肉の仕事量が増えることでトレーニング効果が高くなるということも。高重量を扱わずとも筋肉への負荷を高めることができるので、こういった部分からも怪我のリスクを低減することができるといえます。
種目によってテンポをコントロールする
一概にテンポをコントロールするといっても、どのエクササイズでも同じテンポでいいかといえばそうではありません。
例えばベンチプレスやスクワットのような多関節種目で高重量が扱える種目については「下降に3秒・下降しきったところで0秒(止まらず動作するという意味)・挙上に0~1秒(意識してゆっくりせず、爆発的に挙上)・挙上しきったところで0~1秒(なるべく時間をかけないで次のレップへ)」といった形で、フォームが崩れやすい下降局面は丁寧にするけれども高重量を扱える種目であるといったメリットを殺したくないため、基本的に動作はスムーズにかつ爆発的に行うことにフォーカスします。
反対にアームカールやサイドレイズなどの単関節種目では、高重量が扱いにくく反動などに頼って負荷が逃げてしまう恐れがあるような種目ではとにかく対象の筋肉に負荷が乗っている状態を維持してあげることが中心となるため「下降に3~4秒・下降しきったところで0秒(止まらず動作するという意味)・挙上に0~1秒(意識してゆっくりせず、爆発的に挙上)・挙上しきったところで1秒(筋肉が収縮しているのを感じる)」といったように微妙にテンポを調整しています。
さらにテンポをコントロールすることで常に条件が一定になります。例えば前回のトレーニングではめちゃくちゃ早く動作して8レップ完遂したとします。ところが今回のトレーニングではめちゃくちゃ丁寧に行って下降局面で3~5秒かけて行うとすると重量は同じでも筋肉に対しての負荷は大きく異なり、数字だけ見れば同じ内容でも実質は変わっていることになってしまい正確な成長度合いを測ることができません。テンポすらもコントロールして把握することで、よりトレーニングの精度が高くなるというメリットもあるのです。
まとめ
トレーニングを始めてとき、しっかりと丁寧に正しい動作をコントロールできるようにしておくことで長期的にトレーニング効果を高めることができます。また、上級者に関してもなかなか経験値が高くなってくると挙上重量を1㎏挙げるだけでもかなり困難になってくるので、時々こういった方法で刺激を変えてあげることで成長を鈍化させずに済むこともあるので覚えておいてほしいです。