仙台のアスリート・競技指導者必見!猛暑の試合で高いパフォーマンスを発揮する方法【仙台パーソナルジム監修】

筆者が、小学生や中学生の頃は7~8月で30℃を超えれば「今年の夏は暑いな!」などと言っていた記憶でしたが、なんと今年の仙台は6月時点で30℃を超える日がありました。この様子だと、7月に入り梅雨があければ、より一層厳しい暑さとなることは想像に難くありません。

しかし、いくら暑さが厳しいからといっても多くのアスリートにとって夏から秋にかけては大きな大会が目白押しなハイシーズンとえます。暑くてパフォーマンスが発揮できないなんていってもいられないのが現実です(後々説明しますが、本当に危ない場合には無理に運動はしないようにしましょう)。

そこで、今回の記事では暑さにまけず高いパフォーマンスを発揮するために重要な暑さ対策について、紹介していきます。

この記事でわかること

  • 運動時の体温調節の仕組み
  • 暑いとパフォーマンスが低下する理由
  • 脱水が引き起こす症状
  • 暑さ対策

体温調節の仕組み

運動によりエネルギーを消費して、筋肉などを動かしています。この際のエネルギー効率はおおよそ20%程度が運動エネルギーに変換され、残りの80%が熱エネルギーとして変換されています。

この時に過度に体温が上昇しすぎてしまわないように、熱を外部へ放散させなければいけません。

運動により産生された熱は、血液循環によって体表面(皮膚血管)に運ばれ、伝導、対流、輻射および蒸発によって体外に放出されます。運動継続時間が長かった場合や、外気温が高く、体温の上昇に対して外気への体温の放出が間に合わない時に発汗し、より多くの熱を放出するようになっています。

暑さによるパフォーマンスへの影響

環境温が運動継続時間に与える影響について調べた研究では、上図のように40℃の場合に最も運動継続時間が短く、3℃の場合に最も長くなっていることがわかります。

先ほどの環境温で直腸温と筋温を調べてデータです。やはり環境温が高い場合に最も直腸温・筋温共に急激に上昇していることがわかります。

適度な体温上昇は運動パフォーマンスを向上させるのに有効ですが、過度な体温上昇は運動継続時間を短くしてパフォーマンスを低下させるのです。

脱水によりパフォーマンスが低下する

暑熱環境下での運動は運動継続時間を短縮させ、運動パフォーマンスを低下させることはわかりました。さて、どうして暑熱環境において著しく運動パフォーマンスが低下するかというと、脱水が関係しています。

最初にヒトの体温調節において、大きく体温が上昇した際に発汗によって体温を低下させようとするという説明をしました。

汗がなぜ体温を低下させるのかというと、水分は気化する際に熱を奪う特性があります(気化熱)。汗もこの原理をつかっており皮膚表面に汗を出すことで気化熱を利用して体温の低下を図ります。

そのため多量の汗をかくと、当然ながら体内の水分量が減少します。

水分は細胞内液や血液やリンパなどの細胞外液として、体内での化学反応や栄養を運ぶなど様々な役割をしています。水分が不足することでこれらの活動が滞り、パフォーマンスが低下するとされています。

特に高温多湿な環境下では、汗が気化せず体温は低下しないのに汗ばかりかいてしまうためより脱水への注意が必要です。

暑熱順化で暑さに慣れておく

ある程度長時間運動する可能性のある競技で夏場に実施される競技は多いはず。

そのような場合には事前に暑熱環境になれておく「暑熱順化」により、暑い時期でもパフォーマンスを著しく低下させることなく活動できる可能性が高くなります。

暑熱順化は暑さにカラダを適応させることで深部体温の低下(深部体温が下がることで体温が上昇しても大丈夫な範囲のキャパシティが広がる)や、発汗時のナトリウムの流出量減少などの効果が得られます。

暑熱順化の方法

基本的には季節の変動による気温の上昇とともに徐々に暑熱順化は進みます。しかし、例えば東北地方から関東や関西圏などより気温の高い地方へ遠征しての大会などの場合普段より高い気温での活動を強いられることが想定されるため、試合期の近くになったら積極的に暑熱順化させるような取り組みをしていきたいものです。

暑熱順化の方法は50~60%VO2MAXを60~100分程度実施する方法が一般的です。また、最近ではより強度の高い強度で短時間で暑熱順化を進ませることも可能ということで75%VO2MAXの強度で30分運動することも有効であることがわかっています。

実際に自分自身の競技特性に合わせてこの辺は調整するといいのではないでしょうか。

普段のトレーニングでの暑さ対策

いくら暑熱順化により暑さに適応できるといえど、毎回暑熱化で長時間運動していてはカラダがもちません。

普段のトレーニングや試合と試合の合間のレストの時間はしっかりと暑さ対策をして、より質の高いトレーニングを実施できるようにしましょう。

具体的に推奨される暑さ対策の一例をあげます。

アイススラリー

アイススラリーとは水と微細なシャーベットが混ざった状態の飲み物のこと。氷のままでは摂取するのが困難ですが、この状態だと流動性が高くかつ水よりも低温で体内からしっかりと冷却することができるため非常に有効です。

様々な冷却法がありますが即効性が高く、かつ最近ではポカリスェットなどスポーツドリンクメーカーが同様の商品が出されており実施しやすいため個人的に最もおすすめな方法です。

まとめ

暑さ対策をしておくか否かでこの暑い時期の試合でのパフォーマンスは大きく変わります。

私自身、夏季に大きな大会のあるボート競技(最近ではローイングと呼ばれている)の選手でしたが、宮城から埼玉や滋賀など通常よりも暑い地域での試合で、普段より疲労感も強く通常よりパフォーマンスが低下していたのを感じていました。

普段の練習の成果を無駄にしないためにも賢く暑さ対策をして夏の試合に向けて準備していきましょう。

\仙台市内でカラダのことならトライフィットネスへ/

参考文献:①https://www.nsca-japan.or.jp/journal/25_6_02-10.pdfNSCAJAPAN
     ②https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/jigyou/pdf/shonetsu.pdf国立スポーツ科学センター
     ③https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/0/jigyou/pdf/shonetsu2.pdf国立スポーツ科学センター