柔軟性が高ければパフォーマンスが高くなるわけではない!柔軟性を高めつつトレーニングで筋力も高めよう

「柔軟性を高めることでパフォーマンスが上がるから、しっかりとストレッチをしなさい」
部活やクラブチームなどに所属し、指導者の下で一定期間運動をしたことがある方であれば一度は耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。
私自身もアスリートであった時代に耳にタコができるくらい言われ続け、先輩に背中を力いっぱいに押され苦悶の表情を浮かべつつストレッチをしていただいた(やらされた)のはいいお思い出です。
ここ数年、フィットネスブームからかセルフでストレッチする人はもちろん、ストレッチ専門店が一気に増転するなど私が学生の時に比べると、ストレッチがより広く世間に浸透してきたなという印象があります。
ストレッチは正しく行うことで柔軟性を高め、これまでよりもダイナミックな動作ができるようになる可能性をもたらしてくれるため非常に大切だなと思っているので、ストレッチが広まってきているのはいいことだなと思います。
一方で人気が出て世間に広まることによる弊害もあるように感じています。
それストレッチ万能論のような意見に対してです。
「ストレッチをすればパフォーマンスが上がる」
冒頭で書いたこの言葉。これにこそ問題があると考えています。
ただストレッチにより柔軟性を高めても、そこに筋力が伴わなければ意味がありません。
むしろ柔軟性だけを高めることで、、ケガをするリスクもあることを知り、自分自身に本当にストレッチが必要かどうかを理解したうえで、筋力トレーニングとともにプログラムに取り入れていかなければいけません。
今回の記事ではストレッチだけではパフォーマンスが上がらない理由について解説していきます。
ストレッチだけではダメ
ストレッチは柔軟性を高め、関節を動かせる範囲を拡大させる効果があります。
これ自体非常に大切なことなので、もちろん私自身も現在もおこなっていますし、クライアントにもやっていただきます。
ただ、あくまでもストレッチをしただけでは「関節を動かせる範囲が広がった」だけなのです。
動かせる範囲が広がっても、そこに筋力が伴っていなければ自分の意志で運動中にその関節の可動域は使えないので、無駄になってしまいます。
例えば、床で開脚をすると、脚は完全に開いた状態で床にべったり身体をつけることができるほどの柔軟性があるのに、立位でY時バランスの姿勢まで脚を挙げることができない。
これが「ストレッチで柔軟性が高く、優れた可動域をもっているのに筋力が伴っておらず使えていな状態」です。
もちろん柔軟そのものが競技の結果に直結するような競技があれば、ストレッチをするとパフォーマンスが上がるといえるかもしれません。しかし、ほとんどの競技はそうではないはず。その柔軟性を活かして、ダイナミックな力強い動きが求められるはずです。
「使える可動域」が大事
ストレッチによって関節の可動域を獲得する。そして、その可動域に筋力を伴わせることで養われた「使える可動域」こそパフォーマンスを高めるうえで重要です。
「ケガの予防にストレッチ」と考えている人もいますが、逆にストレッチだけ入念におこなっているだけではケガのリスクを高める場合もあります。
たしかに柔軟性が乏しく、正しい姿勢で動けない場合には不要なストレスが身体にかかり、ケガや痛みにつながる恐れがあります(例:スクワットでハムストリングスの柔軟性が低く、深くしゃがむと腰が丸まり腰痛になる)。
しかし、柔軟性が高くとも、そこに筋力が伴っていないと関節が過度に動き筋肉・靱帯・腱などに過度にストレスがかかり、ケガのリスクを逆に高めてしまうことがあります。
ストレッチ+筋力トレーニングでパフォーマンスアップ
ストレッチで可動域を広げて、その可動域をフル活用してトレーニングするように話すと聞かれるのが以下のようなこと。
例えば100m走の選手は遊脚期(脚を前方に振り出すとき)で股関節が60度~80度程度に曲がるとされていますが、ではこの股関節の可動域をさらに広げる必要があるのか。さらに、その可動域での筋力を高める必要があるのか。
陸上部のトレーニング風景などをみると、しゃがみが浅いスクワットをおこなっているのをみかけるのはこのような考えからきているのでしょう。
たしかに一見すると「競技動作で使われている関節角度がこのくらいだからトレーニングもそれに合わせておこなう」というのはもっともらしい意見のようにも聞こえますが、それは選手の「可能性」を制限していると考えています。
ひとつ、ここで紹介していおきたい研究があります。それは「スクワットのしゃがみの深さとジャンプ力の関係」について調べたものです。この研究によれば浅くしゃがんだスクワットよりも、深くしゃがんだスクワットでトレーニングしていた方がジャンプ力向上が大きかったとするものです。
通常ジャンプをするときはフルスクワット(臀部が膝よりも下に位置する程度まで深くしゃがむスクワット)ほどは深くしゃがみこまないはずですが、この研究では本来ジャンプで使う可動域以上に大きく可動域を使ったスクワットの方がジャンプ力を高めたのです。
もちろん、ジャンプと走動作では動きや力の発揮の仕方が違うので、必ずしも同じような結果になるとは言えませんが、より大きな可動域を獲得し、その可動域をフルに使ってトレーニングすることは選手のポテンシャルを高めてくれる可能性があると考えられるでしょう。
まとめ
ストレッチで柔軟性を高めることは、トレーニングの質を高め、結果的にパフォーマンスを高めることに繋がってきます。
ストレッチだけでもダメですし、筋トレだけでもその効果を十分引き出すことができない場合があります。ストレッチと筋トレ両方上手に活用してパフォーマンスアップにつなげていきましょう。
